天智天皇10年9月　天皇が病気になられた。すぐ、次に、10月7日、新羅
が沙?金万物らを遣わして調をたてまつった。
10月17日、天皇は病が重くなり、東宮を呼ばれ、寝所に召されて詔し、「私
の病は重いので後事をお前に任せたい」云々と云われた。

天皇は、自分の判断では、もう駄目だと思われたのでしょう。前回、私がこ
だわったのは、
　〔天智天皇10年9月　天皇が病気になられた〕と書かれてあり、何日のこ
とか書かれてないので、日本書紀の作者は、書きたく無かったのだと考え
ました。その理由は、いっぱいあるのですが、仮に、天皇が病気になられ
たのが、９月１７日だったとしますと、1ヶ月あります。どのような病気か判り
ませんが、ずっと、食事もできない状態が続きますと、自分の判断では、も
う駄目だと思われるでしょうか。　近くに仕える者も、分かるでしょう。
　となりますと、当時は、先ず、祈祷することになったと思われますが、そ
の記事は書いてありません。場合によりますと、寺まで建立して祈ることに
なりますが、その後、亡くなられまで、祈祷されたことは書いてありませ
ん。

　天智天皇10年9月　天皇が病気になられた。すぐ、次に、10月7日、新羅
が沙?金万物らを遣わして調をたてまつった。
　と書かれています。
　意味が良く判りません。
天智天皇２年３月の所に、前軍と中軍と後軍の将軍は、27000人を率いて
新羅を伐たせた。
白村の戦いの5ヶ月前のことです。唐と新羅を相手に、戦って負けた筈で
す。日本に勝った新羅が、8年後に「新羅が沙?金万物らを遣わして調をた
てまつった」と書いてあります。

　このことの前に、早速、戦勝国から、3年5月17日に、百済に居た占領軍
の司令官である劉仁願が、郭務?を派遣しています。60年前の日本です
と、日本の権限は、殆どアメリカのGHQに握られていました。勿論、日常
の生活は、日本人が戦前と同じように行われていましたが、いわゆる傀儡
政権であったことになります。こういうのは、傀儡政権ではなく、国家の体
をなしていないと思われます。
　記事は、郭務?のことばかりです。
これらのことは、すべて、飛ばして、天智天皇の崩御の所を眺めていま
す。

　簡単にながれを書きますと、白村の戦いから逃れて帰った天智天皇は、
上陸してくる唐と戦う為に、対馬・壱岐・筑紫に狼煙台、長門国にも城を築
いたと書かれています。そして、近江に遷都して、天皇になられたとなって
います。
　郭務?が、戦いの後、半年でやってきていますから、そのような余裕はな
かったと思われます。
　このように眺めてきますと、
〔天智天皇10年9月　天皇が病気になられた。すぐ、次に、10月7日、新羅
が沙?金万物らを遣わして調をたてまつった〕と書いてある部分は、正しく
ないのでしょう。
新羅が沙?金万物らを遣わして調をたてまつったことすら、怪しくなってきま
す。
　
　この時には、藤原鎌足は、すでに死んでいました。中大兄皇子が天皇に
なるには、邪魔をする人はいなかったはずですが、中大兄皇子は無理
に、近江に移動させられました。
　そして、即位されたとは言うものの、天皇になっても、実力の伴わない天
皇で、次期天皇は、傀儡政権の飾り物にする路線が引かれていたのでは
ないかと推察しています。

　これまで、推古天皇から斉明天皇まで、眺めてきましたが、どの天皇も
政治らしき事は、日本書紀に記されていません。天智天皇は、冠位の増
設をしたことは、記されています。

次回は、天智天皇から皇位を引き継ぐように云われた大海人皇子が、辞
退したことを紹介します。
そして、その次に書かれてある太宰府からの報告を書いてみます。11月
10日のことです。
　出来ましたら、私が書く前に、読んでおいて頂きますと、次回、説明する
手間が省けます。